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 ※2017年(平成29年)5月に成立した「民法の一部を改正する法律」が2020年4月1日から施行されます。民法には契約等に関する最も基本的なルールが定められており、この部分は「債権法」などと呼ばれます。

1.消滅時効に関する改正

 消滅時効とは、債権者が一定期間権利を行使しないことによって債権が消滅するという制度をいいます。これまでの民法は消滅時効により債権が消滅するまでの期間(消滅時効期間)は原則10年であるとしつつ、例外的に職業別により医師やマッサージ指圧師等の診療報酬は3年・弁護士や税理士や司法書士等の報酬及び売買代金は2年・飲食代や宿泊料は1年・商行為によって生じた債権(消費者ローンについての過払金返還請求権)は5年としていたのを、今回の改正により権利を行使することができる時から10年という時効期間は維持しつつ、権利を行使するこを知った時から5年という時効期間を追加することになり、いずれか早い方の経過によって時効が完成することになりました。

2.法定利率に関する改正

 民法には、契約の当事者間に貸金等の利率や遅延損害金(金銭債務の支払いが遅れた場合の損害賠償)に関する合意がない場合に適用される利率が定めらており、これが「法定利率」といいます。

 今日の極めて低金利の状態が長く続いている現状から、法定利率が高すぎるため不公平を生じているとの指摘がされています。そこで今回の改正では、法定利率を年5%から年3%に引き下げています。また、将来的に法定利率が市中の金利動向と大きく離れたものになることを避けるため、市中の金利動向に合わせて法定利率が自動的に変動する仕組みが新たに導入されています。

3.保証人の保護に関する改正

 保証契約に関するルールについて、個人(会社などの法人は含まれません)が保証人になる場合の保証人の保護を図るため次のような改正をしています。

①個人が根保証契約(例えば住宅等の賃貸借契約の保証人となる契約)を締結する場合には、保証人が支払いの責任を負う金額の上限となる「極度額」を定めなければ、保証契約は無効となります。

②会社や個人である事業主が融資を受ける場合に、その事業に関与していない親戚や友人などの第三者が安易に保証人になってしまい、結果的に予想もしなかった多額の支払いを迫られるという事態が依然として生じています。そこで個人が事業用融資の保証人になろうとする場合について、公証人による保証意思確認の手続きをしないとその保証契約は無効となります。

このことは保証人となろうとする者は自ら公証人の前で保証意思を述べて公正証書を作成する必要があります。ただし、次の場合には意思確認は不要です。

○主債務者が法人である場合、その法人の理事、取締、執行役や議決権の過半数を有する株主等

○主債務者が個人である場合、主債務者と共同して事業を行っている共同事業者や、主債務者の事業に現に従事している主債務者の配偶者

4.賃貸借契約に関する改正

 (1)敷金について 

 賃貸借に関しては、敷金をやりとりするという実務が広く形成されています。また、賃貸借の終了に際しては借主が現状回復をする必要がある場合に、どの範囲で現状回復が必要かについて紛争が生ずることも少なくありません。しかし、民法には敷金や現状回復についての基本的なルールを定めた規定がありませんでしたので、次のような確立したルールを条文に明記しています。

 ①敷金については、貸主が貸借が終了して賃貸物の返還を受けたときには賃料などの債務の未払分を差し引いて残額を借主へ返還しなければなりません。

 ②賃貸借の借主は、通常損耗(賃借物の通常の使用収益によって生じた損耗で例えば家具の設置による床、カーペットのへこみや、日照などの自然現象によるクロスの変色、壁等の画鋲、ピン等の穴)など経年変化については原状回復をする必要はありません。通常損耗・経年変化に当たらない例としてたばこのヤニ、ペットによる柱等のキズが当たります。

(2)賃借人に修繕の権利が認められた                        

 ①賃貸建物の修繕につき、現民法は賃貸人は使用収益に必要な修繕をする義務を負うという規定に加えて新たに「ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要になったときはこの限りでない。」を追加されました。 

 ②「賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に修理しないときは」と「急迫の事情があるとき」は、賃借人は使用及び収益に必要な修繕をすることができる旨を規定されました。

(3)賃貸借期間の上限が20年から50年に改正

 例えば借地借家法の適用のない土地の賃貸借(資材置き場とするための土地賃貸借契約等)に ついて改正民法では50年まで乃契約を締結することができるようになりました。 

(4)賃借物一部滅失等による賃料減額について

 ①賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときの賃料の減額請求が出来るが、「賃借物の一部滅失その他の事由により使用及び収益をすることが出来なくなった場合」にも 賃料減額の対象となりました。 

   ②現民法では、賃借物が賃借人の過失によらないで一部滅失した場合には、賃借人は賃貸借契約を解除することができるを、改正民法は賃借人の過失を問題とせず、残存する部分のみでは賃借人が目的を達することが出来ないときは、賃借人は契約の解除をすることが出来る旨を規定しました。                                                                       

 なお、賃借人の過失により賃貸人に損害が生じた場合には損害賠償の問題で処理します。

5.売買契約に関する改正

(1)「瑕疵担保責任」から「契約不適合担保責任」へ

   現行の民法では売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、買主は契約を解除することがで きるし、契約の解除をすることができないときは、買主は損害賠償請求のみをすることができると定められている「瑕疵担保責任」という表現を、売買の目的物が種類品質又は数量に関して契約の内容に不適合であるときは

①履行の追完を請求できる。

②履行の追完がない場合には、代金減額を請求できる。

③損害賠償を請求できる。

④契約を解除できる。という「契約不適合担保責任」へ表現が変わりました。

(2)担保責任の期間制限

 現行民法での「瑕疵担保責任」は、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から1年以内にしなければならない。とありますが「契約不適合担保責任」では、不適合を知った時から1年以内に不適合の事実を適法に通知しておけば、契約不適合担保責任の追及は消滅時効が完成するまで可能となります。(買主が契約不適合を知れば、買主は権利を行使することができることを知ったことになリます。従って契約不適合を知った買主が、知った時から1年以内に契約不適合が存在することを売主に通知した場合には、買主の権利は契約不適合を知った時から5年で消滅時効となるので、そこまでは権利を行使することが可能となります。)

(3)担保責任の免除特約

 瑕疵担保責任も契約不適合担保責任も、責任を負わない旨の特約(免責特約)をすることは可能ですが、「知りながら告げなかった事実」については、免責の対象となりません。

(4)危険負担

  現行民法では、建物の売買契約において売主の責めに帰すことができない事由(放火等)で建 物が焼失した場合、建物の引渡の債権者である買主は、代金を支払わなければなりませんが、改正民法では、債権者主義は不合理であるとして、債務者の責めに帰すことができない事由で履行不能となった場合であっても、債権者は契約を解除することができるので危険負担の問題が発生しません。